統轄本部責任者のSです。
1月は行く、2月は逃げる、3月は去ると言いますが、
言葉のとおり1月はあっという間に行ってしまいました。
時々春のような気温の日があると、余計に寒の戻りが辛いですね。
今日は寒い冬に欠かせない使い捨てカイロの話をしようと思います。
大げさに言うと、使い捨てカイロを通して感じたブランディングや差別化の話です。
はじめに、使い捨てカイロのブランドと言えばどこですか?
私は関西人なので、当たり前に「そら桐灰でしょ」と思うのですが、
「桐灰、貼る!」と言うインパクト強めのCMでおなじみの桐灰化学のカイロは、
国内シェア1位にもかかわらず、名古屋より東では殆ど知られていないそうです。
以前テレビでそれを知って愕然としました。
その桐灰の商品の中で去年から私の中でヒットだったのが「マグマ」です。
良い名前だと思うのですが、普通のカイロよりも8℃~10℃ほど高温になり、
外でも冷めにくいので「マグマ」なのです。
真冬に屋外で長時間居なければならない時には欠かせません。
私はこのマグマがお気に入りで、ある日薬局に買い足しに行きました。
シーズン真っただ中なだけあり、売り場も大きくとられています。
当たり前のようにマグマを手に取ろうとしたとき、気づいてしまったのです。
マグマの黒い背景とは対照的な赤い背景に「約10℃高い屋外専用カイロ」
と大きく書かれたアイ○ス○―ヤマ製のカイロがあることに。
…しかも桐灰より安い。
「安かろう悪かろうかもしれないけれど、でも物は試しだし…」
と一瞬の葛藤の末、誠に申し訳ないのですが、
私の桐灰カイロへのロイヤリティ(リピート愛)はわりと簡単に崩れたのです。
店を後にしながら、最近家電やマスクだけでなく、
カイロにまでアイ○ス○ーヤマの勢いが迫ってきたこと、
そして見事に自分がそれに呑まれたこと、色々考えました。
「安いからって、やっぱり今まで買い続けていた本家本元の桐灰のマグマを買ってあげるべきだったのに、あぁ自分は負けたな」
みたいな、ちょっと意味不明ですが、そんな気持ちになったのです。
と同時に、なぜ自分の桐灰ロイヤリティが簡単に崩れたのか考え、
①カイロに求めるもの
②それに対しての価値(対価)
の2点が大きく関係しているなと気づきました。
当たり前ですが、カイロに対して私が求めることは
「手軽に」「高温になる」ことです。
特に外に居る数時間の間に使うためのカイロを求めている私にとって、
大切なのは持続時間よりも「手軽さ」と「高温」でした。
ではそれに私はどれだけの価値を見出しているのか。
正直熱々のお湯を入れた湯たんぽでも良いのです。
外に持ち運べるなら、ポータブル足湯なんかでも良いのです。
でもそれでは全然手軽じゃないので、外ではカイロを使います。
ここで気づきました。
私には、湯たんぽや足湯ではなくカイロでなければならない理由がありますが、
アイ○ス○ーヤマではなく、桐灰でなければならない理由がなかったのです。
今まで買い続けてきた愛着はありましたが、
いや、愛着があると思っていましたが、
100円の差もない程度の値段の安さにあっさりとその愛着は消えたのです。
「あぁ…こうやって購買意欲は変動するんだな」
と自らの行動で実感しました。
では、私が桐灰のカイロだったらどうすればライバルより強くなれるのか。
①圧倒的に安くする。
②他社にない機能性を持たせる。
(実際桐灰の靴用カイロで消臭機能付きのものがあります)
③値段とか機能とか関係なく、崇拝にも似たブランドを作り上げる。
こんなもんでしょうか。
①や②だけでは持続的な成長はできないと思います。
でも①と②を耐え抜いた先に③になれるのかもしれません。
例えばユニクロ、
20年ほど前は安いけど可愛くもないただ安い店、というイメージでした。
何を血迷ったか、ほんの一時期ですが、
家の近所のユニクロで野菜が売られていたのを私は知っています。
それがヒートテックやエアリズムなど、
機能的かつスタイリッシュな商品で知名度と信頼度を上げ、
今や国民の制服的な存在になっているのではないでしょうか。
機能性インナーや普段着は他のブランドからもたくさん出ていて、
しかもそっちの方が安いことも多いです。
それでも質、機能性と価格のバランス、
そして著名人がシンプルにユニクロを着こなすイメージ戦略、
国内を飛び越え海外にもそれを波及させたタイミングと勢い、
全てが良いミックスになって、今のユニクロになっている気がします。
あとはコカ・コーラやタバコの銘柄、スターバックスなども、
暑かろうが寒かろうが、値段が高くなろうが、
一度ついたファンの忠誠心は決して揺るがない強いブランド力があり、
ライバルとはそのブランド力を以て差別できています。
正直スターバックスの中身をインスタントコーヒーに入れ替えても
気づかない人も多いのではと個人的には思いますが、
それでもスターバックスで体験できる時間とあの緑のマーメイドに、
世界中みんな虜なのです。
そして当社は人材の会社ですので、スターバックスで働きたい!と
どんどん若い人たちがやって来る状況にもブランドの力を感じます。
結局は仕事も恋愛も、一つ一つのスペックで比較されているうちは全然だめで、
すぐに乗り換えられてしまいます。
もちろんスペックを上げていく努力はしますが、
最後は全体で「他じゃダメなんだよね」というブランドを築けるかどうかだな、
と寒空の下、勝手に桐灰への若干の切なさを感じつつ、思いに耽った夜でした。